2020年東京五輪に向けて、屋内の受動喫煙対策を条例化する東京都の動きが萎みつつあります。飲食店や宿泊施設の業界団体が反対し、五輪開催年で罰金付きの法令を定める「禁煙五輪」の流れが定着する中、その灯火が東京で消えかかっています。WHOによると、屋内の全面禁煙政策を採る国は48カ国で、五輪開催地では16年のリオデジャネイロ(ブラジル)が09年、18年冬に平昌で予定する韓国でも今年1月、すべての飲食店が全面禁煙になりました。
日本で主流となりつつある分煙は、健康対策としては効果は上がらず、時代遅れとなっています。日本は諸外国に比べ、喫煙しやすい環境にあり、受動喫煙防止の取り組みは進んでいません。受動喫煙の害に地域特性はなく、規制は国が行うのが望ましいと考えられます。罰則付きの地方自治体の条例の制定では、効果を期待できません。
喫煙は本人にとって百害あって一利なし、しかも他人の健康を損ねることは大問題です。
(2015年2月14日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)