厚生労働省は、長時間働いても残業代などが払われない新しい働き方を創設する報告書をまとめました。労働組合からは、「残業代ゼロ」になり、働き過ぎの歯止めがなくなると批判の声があがってます。新しい働き方は、高度プロフェッショナル制度と呼ばれ、時間でなく成果で評価される働き方を希望する労働者のニ-ズに応えるためとされています。
今回の報告書では、対象となる働き手に対し、企業は年間104日の休暇を取得させることなどを条件に、働いた時間にかかわらず、残業代や深夜・休日手当を支払わなくてよいとされています。一方で、賃金制度のあり方には踏み込まず、「成果に応じて賃金を増やす」ことを導入企業に約束させるわけではありません。しかし、導入した企業が従来の年功序列の賃金を維持していた場合、働き手にとっては、成果をあげても賃金は増えないということもありえます。残業代を払わなくてよければ、労働時間が抑制できずに、業務量は増えて長く働かされる可能性もでてきます。このような働きすぎを防ぐ仕組みは十分なのかなど、疑問は残ったままです。しかし、時間ではなく、成果で評価する新たな労働制度に変革することは必要です。
(2015年2月14日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)