民法における夫婦別姓を認めない規定と女性の再婚禁止期間を定めた規定に対して、最高裁として初の憲法判断を下すことになります。民法750条では、夫婦は婚姻に際し、夫か妻の姓を名乗ることを規定しています。下級審では夫婦別姓は憲法で保障された権利とは言えないとして請求が棄却されています。内閣府の2010年の調査では選択的夫婦別姓の導入に向けた民法改正について、「改正の必要はない」が36.4%で、「改正してもかまわない」の35.5%をわずかに上回っています。
再婚禁止期間を巡る訴訟では、民法は、離婚後300日以内に生まれた子の父は前夫と推定する一方、婚姻200日経過後に生まれた子の父は、現在の夫と推定すると規定しています。離婚直後の結婚を認めると、すぐに生まれた子の父親が不明確になってしますため、再婚禁止期間が設けられています。
夫婦別姓については、選択性も含めた国民意識の変化も踏まえての判断が必要となります。しかし、再婚の禁止期間については、父子関係を巡る紛争も未然に防ぐために合理性があるように思えます。
(2015年2月19日 読売新聞)
(吉村 やすのり)