夜勤が多く勤務時間が不規則な看護師は離職率が高く、首都圏の人手不足は深刻な状況が続いています。2012年末の時点の人口10万人当たり看護師数を見ると、埼玉県が528人と47都道府県で最も少ない。さらに、千葉県、神奈川県と続く首都圏における看護師は極めて少ない状況です。東京都も42番目です。一都3県の求人倍率は4倍にも達しています。看護師以上に女性医師の離職率は高い状況にあります。女性医師に比較し、看護師の勤務形態がしっかり決められていることによります。
このような状況下で、首都圏の医療機関で、病院内や施設周辺に大型の保育室を整備する動きが広がっています。病院での不規則な勤務に対応するため、夜間保育や病児・病後児保育に力を入れる施設も多くなっています。看護師の人手不足が続くなか、働きやすい環境を整えることで人材確保につなげる試みがなされています。こうした試みは、出産を機に離婚するのを防ぐことにもつながります。女性医師の場合は、勤務形態の見直しをしないかぎり、離職率は改善しないと思われます。
(2015年3月4日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)