国際放射線防護委員会は、自然放射線や医療による被曝を除いた平常時の一般市民の被曝限度を年間1ミリシ-ベルトとしています。国は、この数値を第一原発自事故による個人追加被爆線量の長期目標としています。空間線量が毎時0.23マイクロシ-ベルトで、1日の8時間を野外、16時間を木造家内で過ごしたとすると、その人の追加被爆が年間1ミリに相当すると推計されています。
原発事故から5年目に入り福島県下では、除染などで放射線量は低下傾向にあります。朝日新聞の調査によれば、正確な測定ができた3574地点のうち88%で目安を下回っています。しかし、第一原発のある相双地方は58%にとどまっており、特に役所ごと避難を続ける大熊町や双葉町など7町村は、目安未満が全302地点の22%にしかすぎません。このように事故から4年経っても高線量の場所も多く、住民の帰還を阻んでいます。
(2015年3月12日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)