妊娠・出産を理由に降格や解雇などをすることをマタニティ-・ハラスメント(マタハラ)と呼びます。これまでは働き手が企業の違法性を立証しなければなりませんでしたが、厚生労働省は妊娠・出産と降格などの時期が近ければ違法と原則判断するように全国の労働局に通達を出しました。この通達のきっかけは、昨年10月の最高裁判決です。妊娠を理由に不当に降格させられたとして、広島県の女性が降格は違法だなどと訴えた裁判で、最高裁は妊娠中に負担の少ない義務に移ったことをきっかけに降格させることは、原則違法と判断しました。
マタハラと思ったら、都道府県の労働局雇用均等法室や個人が勤める会社の労働組合、個人で加入できる労組に相談する方法があります。日本労働弁護団は各地で定期的に電話相談を受け付けており、女性弁護士によるホットラインもあります。これまでは因果関係を被害者側が立証しなければならないことで、泣き寝入りしたり、裁判所で負けたりすることも多かったのですが、原則「違法」とされたことで、女性が声をあげやすくなったことは良いことです。
(2015年3月13日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)