新生児マススクリ-ニングは、障害が出たり命を脅かしたりする可能性のある先天性の病気を見つけ、発症や障害を防ぐのが目的です。1977年から開始されています。方法は、生後5日目の赤ちゃんのかかとから、ごく少量の血液を濾紙に染み込ませたもので検査します。現在、1次検査の費用は原則無料で、ほとんどの新生児が受けています。
この新生児マススクリ-ニングが、昨年4月から全国で新しい分析法に切り替わっています。わずかな血液からわかる病気が、それまでの6疾患から19疾患に増えています。発症前に治療を始めることで障害を防ぐ効果が期待されます。当初は、フェニルケトン尿症などアミノ酸代謝異常症3疾患と、糖代謝異常症、先天性の内分泌疾患2疾患の計6疾患しか判定できませんでした。その後、タンデムマス法という分析が開発され、有機酸代謝異常症や脂肪酸代謝異常など、新たに13種類の病気がわかるようになりました。検査を経て診断が確定したら、赤ちゃんの治療と家族への支援が必要となります。成人後も継続して治療が受けられるような診療体制の整備や助成が大切となります。
(2015年3月24日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)