1980年代のスカンジナビア航空(SAS)が経営再建に取り組んだ時のサービスマネージメントの考え方です。これは、リチャードノーマンという経営コンサルタントが唱えましたが、SASのCEOであったヤン・カ-ルソンが出版した「真実の瞬間」という書籍のなかで紹介され、注目が集まりました。
真実の瞬間とは、顧客が企業の価値判断をする瞬間のことを示します。顧客が実際にその企業の提供する商品、サ-ビスに接するあらゆる瞬間が「真実の瞬間」となりえ、そのときに企業姿勢を疑いたくなるような瞬間があればその企業からの購買を取りやめる可能性があります。これは、一般の顧客満足度調査には現れないが、顧客の購入の意思決定に直接に関係すると考えられます。事実の瞬間での対応に失敗すると、企業のあらゆる努力は吹き飛ばされ、顧客に「二度とこの企業の製品、サ-ビスは購入しない」と心に決めさせてしまうことになります。さらにこのときに顧客が感じた不快な経験は個人に止まらず、速いスピ-ドで人に語られ、広まっていくことになります。
この考え方は、サ-ビス業のみならず、人生の生き方にもつながり、大切にしたい言葉です。
(吉村 やすのり)