司法解剖する医師の不足

 犯罪の疑いのある遺体を調べる司法解剖を担う法医学を専攻する医師が、不足しています。青森県では、ただ1人の担当医師が3月末まで退任し、一時解剖できなくなる事態に陥っています。明らかな病死などを除く異常死の場合には、病理解剖ではなく、司法解剖により死因究明することをなっています。司法解剖などで死因を調べる法医の不足は、全国的な問題となっています。日本法医学会によると、約20県で司法解剖の担当医が1人しかいない状況が続いています。
 警察庁の調べによると、14年に全国の警察が扱った異常死の遺体約166千体に対し、解剖率は、11.7%にとどまっています。全国の国公私立大で死亡解剖にあたる法医は14年度で153人と5年間で11人しか増えていません。異常死の数が増加する傾向にあり、今後は医師の確保が大切になります。文部科学省は、東北大や千葉大、長崎大など5大学に死因究明のための教育・研究費用を積み増すなど、法医の育成を強化しています。

(2015年3月30日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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