養育里親とは、養子縁組を前提とせず、保護が必要な子どもを家庭で預かって養育する制度をいいます。里親には、手当として月7万2千円(2人目以降は3万6千円加算)のほか、子どもの生活費や学費などが支払われます。地域の児童相談所に申請し、研修や家庭状況の調査などを受けた後、里親として登録されます。子供のそばでずっと愛情を与えてあげられる里親の役割は、大きいと思われます。
親の虐待や病気、経済的理由などで保護された子どもを家庭で受け入れて育てる養育里親の数が伸び悩んでいます。厚生労働省は施設偏重からの脱却を目指しており、里親への委託率は徐々に上がっているものの、他の先進国の水準とはなお大きな隔たりがあります。現在、親などを離れて社会的養護の対象になっている子どもは、児童自立支援施設の入所者などを除くと3万6千人もいます。このうち8割以上は、児童養護施設や乳児院などの施設で養育されています。里親などの一般住宅で暮らしているのは約5600人で、里親委託率は15.6%にとどまっています。今後は、里親制度の重要性を周知させることが大切になります。
(2015年4月6日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)