総合職、一般職といったコ-スを設ける企業は、男女雇用均等法の成立に合わせて増えています。この均等法は、一方の性の労働者のみを一定のコ-スに分けることを禁じています。働く女性の権利は、女性たちが裁判で闘ったことで実現したという経緯があります。女性を対象にした結婚退職制や差別定年制などを巡り、裁判所は民法上の公序良俗違反と認定しています。その後、これらの差別は、均等法に禁止規定として盛り込まれています。
しかしながら、均等法には違反企業への罰則がなく、実効性が弱いのが問題点です。都道府県労働局長には、企業への助言や指導、勧告の権限はあるものの、働く側が賠償責任を求めるには労働裁判や裁判を起こすしかないのが現状です。こうした現状を改善するためには、成果主義による職務基準を設け、男女差別にならない賃金体系や雇用システムを作ることが大切です。
(2015年6月12日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)