血清マ-カ-検査とは
血清マ-カ-検査は、従来より日本産科婦人科学会周産期委員会による報告「母体血清マーカー検査に関する見解について」に準拠して施行されてきました。これらのガイドライン等が示されてから10年以上が経過しており、妊婦や社会の母体血清マーカー検査に対する認識にも変化が見られ、遺伝カウンセリング体制も整備されるようになってきています。米国では年齢にかかわらず、すべての妊婦に染色体異常のスクリーニング検査を提供すべきであるとしており、英国では政府の政策としてスクリーニングプログラムを全妊婦に提供しています。
わが国においてもこれらの状況も踏まえ、産婦人科医が妊婦に対して母体血清マーカー検査を行う場合には、適切かつ十分な遺伝カウンセリングを提供できる体制を整え、適切に情報を提供することが求められています。また検査を受けるかどうかは、妊婦本人が熟慮の上で判断し、選択するものであり、検査を受けるように指示的な説明をしたり、通常の妊婦健診での血液検査と誤解するような説明をして通常の定期検査として実施するようなことがあってはならないとしています。検査結果の説明にあたっては、単に「陽性、陰性」と伝えるような誤解を招きやすい説明は避け、わかりやすく具体的に説明します。本検査は通常の臨床検査とは異なり、その意義や結果の解釈の理解が難しいことから、本検査に関わる医師は、その内容や解釈について十分な知識と説明ならびに遺伝カウンセリング能力を備えていなければなりません。
(吉村 やすのり)