出生前診断シリーズ―Ⅶ

新型出生前遺伝子的検査を受けるため留意点

 母体血清マーカー検査と同様に、母体血を用いた胎児染色体検査は、確定診断のための検査ではなく、非確定検査です。いずれの検査も、妊婦本人が熟慮の上で判断し、選択するものであり、妊婦に対して通常の妊婦健診で安易に勧めたり、指示的に説明するべきではありません。
本検査は、染色体異常のハイリスク妊婦を対象にした場合の陽性適中率は高いのですが、ローリスク妊婦を対象にした場合の陽性的中率は低くなります。したがって母体血を用いた胎児染色体検査は、胎児染色体異常(211813トリソミー)のハイリスク妊婦に対して陽性適中率が高い検査でありますが、陽性例の診断確定のためには絨毛あるいは羊水検査による侵襲的検査が必要になります。一方、陰性という結果は、必ずしも異常のない妊娠を保証するものではないことに留意するべきです。現時点では、本臨床研究の対象は3疾患に限定されるべきであり、それ以外の染色体異常(モザイク例や不均衛型軽症例など)の可能性が推定される場合は対象になりません。

(吉村 やすのり)

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