マタニティ-ハラスメント(マタハラ)とは、妊娠や出産を機に、働く女性が職場で嫌がらせや不当な扱いを受けることをいいます。妊娠後の職場での降格が男女雇用機会均等法に違反するとした2014年10月の最高裁判決、マタハラへの指導を強化した厚生労働省通達など、マタハラが注目を集めています。わが国においては、はびこる長時間労働と女性は家庭へという性別役割の強い分担意識があります。
厚生労働省は1月、マタハラを防ぐため、各地の労働局に企業への指導を強化する通達を出しています。妊娠や出産、育児休業の終了後、原則1年以内の解雇や降格は違法とみなされます。悪質な企業名の公表を徹底し、被害拡大を食い止めようとしています。妊娠が分かった女性に制度を知ってもらおうと、厚労省は今年度、母子手帳交付時に渡せるチラシを発行して自治体に配っています。妊娠・出産・産休・育休などが理由の退職強要や配置転換など法律違反の例を明示し、パ-トやアルバイトでも要件を満たせば、育児取得が可能と説明しています。
(2015年6月22日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)