国立がん研究センタ-は、今年4月に公表した胃癌健診ガイドラインで、X線検査にかわり、内視鏡検査を始めて推奨しています。対象はリスクの高まる50歳以上が望ましく、2~3年おきに受ければよいとしています。前回の2005年度版ガイドラインで、推奨されたのはX線検査だけで、内視鏡検査は死亡率減少の効果の有無を判断する証拠が不十分とされていましたが、今回は効果が認められました。
内視鏡検査を選択する人が増えた理由について、がん発見率の高さが挙げられます。しかしながら、普及に向けては課題もあります。X線は放射線技師でも操作できますが、内視鏡は医師に限られます。日本消化器内視鏡学会の会員は全国約3万3千人で、都市部に偏りがちです。X線の受診者が内視鏡に置き換わった場合、推計で内視鏡医の1人あたり年間約460人に診る必要が生じます。
(2015年6月29日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)