相続税の節税のため子や孫に贈与する人が増えています。特に目立つのが一括贈与です。教育資金は13年から、もらう人1人当たり1500万円まで非課税になっています。かわいい孫のためという気持ちと相続税の節税の実利が相まって、信託銀行が扱う金利商品「教育資金贈与信託」の契約件数は、12万件を超えています。また、子どもの住宅取得資金として、非課税枠の上限1500万円を贈与することができます。相続税の節税を考える高齢者にとって、子どもの信託購入や孫の教育のためにまとまったお金を非課税で一括贈与できる制度の魅力です。
子どもの結婚や孫の子育てに対しても1000万円まで贈与できます。また、相続税を減らすため、もらう人1人当たり年110万円まで非課税になる暦年贈与をしている人は少なくありません。ただし、事前に、毎年110万円ずつ10年間で計1100万円を贈与すつといった約束をすると、最初の年に一括で贈与したのと実質的に同じとみなされ、贈与税がかかる場合があることに注意しなければなりません。
(2015年7月1日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)