政府は、全国で入院ベッド数をいまの1割ほどにあたる16万~20万床削減できるという目標を公表しています。推計では、何もしなければ2025年には今より17万床増えてしまいます。削減数はそこから33万~37万床を減らすことにしています。リハビリをする患者のための回復期のベッドは3~4倍に増やす必要がありますが、現状のベッドの必要性を見極めると回復期以外のベッド数は減らせるとしています。
政府は、高齢者らが長期入院する療養病床を介護施設に転換するよう病院側に促してきましたが、一向に進みません。政府が、病床削減に伴う患者の受け皿に想定している介護施設の整備は遅れています。今回の推計を目安に、地域の入院ベッド数をどれだけ減らし、介護施設をどれだけ増やすかは、都道府県が計画することになっています。医療機関の反発は強く、自治体も及び腰です。しかし、欧米に比して人口あたりのベッド数は3~5倍あり、医療費削減のためにもベッド数は減らさなければなりません。
(2015年7月4日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)