海外では、創薬にAIを活用する動きが日本以上に活発で、積極的な投資も進んでいます。プレセデンス・リサーチの調査によれば、創薬分野におけるAIの世界市場が2034年に165億2,000万ドル(約2兆4,000億円)と、2024年の2.6倍に増えると予測しています。AIの活用で製薬企業の研究開発プロセス全体にかかる費用を最大7割、期間同5割削減できる可能性があるとされています。巨大製薬企業を中心にAI創薬技術の獲得競争が激しくなっています。

新薬の研究開発には時間がかかります。病気の原因究明や創薬ターゲットを選定する基礎研究に始まり、新薬候補化合物の探索や最適化を進める応用研究、動物試験や臨床試験を行う臨床開発に進んでいきます。10年以上の年月と3,000億円超の莫大な費用を要する上、近年は薬の候補物質が枯渇しつつあり、難易度は年々上がっています。AIの活用によって、開発期間と費用の大幅削減、成功確率の向上が期待できます。

(2025年4月7日 読売新聞)
(吉村 やすのり)