大手製薬企業は、理化学研究所や京都大学と協力して創薬用AIを開発し、新薬開発を進めようとしています。新薬開発ではまず、病気の発症に関係するたんぱく質などに働きかける新薬候補を見つけ、さらに動物や人間で効果や安全性を検証する必要があります。しかし、製品化までに10年を超す期間と1,000億円以上が必要とされます。AIを活用することで、2~3年かかる新薬候補探しを大幅に短縮できる見通しです。
AIによる創薬の試みは、世界でも広がっています。米国のベンチャー企業が取り組んでいるほか、AI技術を活用した米IBMのコンピューター「ワトソン」を病気の診断に役立てる研究も進んでいます。新たに開発する創薬用AIは、様々な種類のデータで学習することで精度が高まるほか、新薬候補が効く理由なども追跡でき、臨床応用を進めやすいとされています。
(2016年11月16日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)