AYA世代のがん

国立がん研究センターと国立成育医療研究センターは、39歳以下のがんについて、初となる全国規模の調査結果を公表しました。2016、2017年の2年間に、がんと診断されたのは約6万2千人にも達しています。15~39歳のAYA(Adolescent and Young Adult=思春期と若い成人)世代では、女性が約78%でした。男女別にみると、0~14歳の小児では、男性55%とやや男性が多いのですが、AYA世代は、女性が4万4,946人と77.7%を占めています。とくに20歳以上は、年齢が上がるごとに女性の割合が増える傾向にあります。
AYA世代の女性で多いのは早期の子宮頸がんで、この世代の4割にあたります。国は20歳以上の女性に、2年に1度の子宮頸がん検診を推奨しています。しかし、受診率は2016年調査で全体で30~40%、特に20代では20%と低率です。このような状況の中で、わが国では子宮頸がんワクチン接種率がいまだに1%未満であり、一刻も早いワクチン接種の積極的勧奨が望まれます。オーストラリアでは、ワクチン接種により2028年には子宮頸がんは根絶がんとなるとの報告もみられます。わが国の若い女性だけが、予防できるがんに罹患し、苦しむ状況は看過できません。

(2019年10月18日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)

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