AYA世代のがん

15~39歳をAYA(Adolescent and Young Adult)世代と言います。国立がん研究センターによれば、がんと診断されたAYA世代の人は、2016、2017年の2年間で約5万8千人だったと公表しています。AYA世代は全体のがん患者の数%であり、患者数の少なさから対策は遅れていました。しかし、2017~2022年度の第3期がん対策推進基本計画にAYA世代のがん対策が初めて明記されました。AYA世代への支援が広がりつつあります。がんの部位にもよりますが、手術や放射線、抗がん剤治療は生殖機能に影響を与えます。がん治療前に卵子や精子、卵巣組織などを凍結しておく妊孕性温存治療が、10年以上前から急速に広がり始めています。妊孕性温存のために具体的な説明を受けたという19歳以上39歳以下のがん患者は38.1%に過ぎず、多くの患者に情報が届いていません。

治療費には様々な助成制度があります。18歳未満は小児慢性特定疾病の医療費助成を、40歳以上で末期がんの場合は介護保険のサービスをそれぞれ使えます。しかし、AYA世代の大部分を占める18~39歳は、こうした公的制度が利用できない上、就職したばかりだと蓄えが多くはありません。多くの患者が医療費などの経済的なことで悩んでいます。進学、就職、結婚、出産など年齢ごとに必要とする支援も幅広くなっています。病気の治療に専念できるよう、経済的なことや就職など、様々な相談にのることができるシステム作りが急務です。

(2019年11月23日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)

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