15~39歳までをAYA(Adolescent and Young Adult)、思春期・若年成人と言います。がんと新たに診断される人は年間約98万人いますが、そのうちAYA世代に該当する人は約2万人です。AYA世代のがんは、女性が78%を占めています。AYA世代は、恋愛、家庭、出産など、病気ではなくてもいろいろと悩みながら生きている世代です。そのうえにがんと診断され、本当に大変な思いをしています。
AYA世代の治療成績は良くなっています。1980年代から小児がんの治療成績が良くなり、AYA世代の成績も小児がんに追いついてきています。これに伴い、妊娠能力の温存など、将来も見据えつつ、日常生活を送るためのケアの重要性が高まっています。医師、看護師、ソーシャルワーカー、臨床心理士らが、チームとなって患者を支える必要があります。
小児がんであれば医療費の助成がありますが、20~30代はまだ貯蓄の少ない人も多く、経済的な悩みも抱えています。若年者へのがん治療によって主に卵巣、精巣等の機能に影響を及ぼし、妊孕性が低下することは、妊娠・出産を希望する患者にとって大きな課題となっています。妊孕性温存療法として、受精卵、未受精卵子、卵巣組織、精子を採取し長期的に凍結保存することがありますが、高額な自費診療となるため、特に若年のがん患者等にとって経済的負担となっています。国は、2021年4月より、妊孕性温存療法にかかる費用負担の軽減を図るため、支援事業を開始しています。
(2022年3月18日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)