不登校児童生徒に対するICT活用

2021年度の文部科学省の調査によれば、不登校の小中学生は24万4,940人で、2020年度に比べ24.9%増しています。この増加幅も過去最大でした。①新型コロナウイルス禍で学校の活動が制限され、登校する意欲が弱まった、②欠席への抵抗感の薄れ、③学級閉鎖などによる生活リズムの乱れ、④子ども同士の人間関係の形成、コミュニケーションが難しくなったなどの要因が考えられています。
不登校生の自宅でのICTを活用した学習が、出席扱いと認められた不登校生が増加しています。コロナ前の2019年度には600人にとどまっていましたが、2020年度は2,626人、2021年度は1万1,541人と一気に増えました。制度の周知が進んだほか、コロナ下で自宅に持ち帰れる学習端末が配られたことが背景にあります。

文部科学省は、出席扱いの判断の基準としては、登校を希望した際に円滑な学校復帰が可能となるような学習活動であることに加え、訪問等による適切な対面指導の実施など7つの要件を示しています。出席扱いを認める条件は、校長や自治体によって判断にかなり幅があります。出席扱いは、自治体の教育支援センターや民間のフリースクールなどで指導を受けた場合も認められます。それら学校外施設での学習で出席扱いを認められた小中学生は、2021年度に約2万8千人で、前年度比15.4%増えています。
どこで学ぶかより何を学ぶかに保護者や子どもの価値観がシフトしています。しかし、人と直接会い、共通の経験を持つことなどはとても重要です。家庭が不安定な不登校生も多く、オンラインで学びを保障できる子どもは僅かであり、自分に合った速度で学べるように学校を変えていくべきと思われます。

(2022年11月15日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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