不妊体験者を支援する会であるNPO法人Fine(ファイン)は、2017年3月~8月に仕事と不妊治療の両立に関して、5,000名を超える男女にアンケート調査を実施しています。それによれば、仕事と不妊治療の両立が困難で働き方を変えざるを得なかった人の半数が、退職を選択しています。いわゆる不妊退職です。特に30代後半の女性の退職が多くなっています。働き方を変えた理由としては、通院回数が多い・時間がかかるなど通院の負担が多く、次いで責任ある仕事ができない、不妊治療に対する理解がないなどの精神的な負担が続いています。
不妊治療のために働き方を変えざるを得なかった理由としては、両立ができなかった・限界があったが最多でした。治療を優先させた、社会や会社の理解がないが続いています。職場にサポート制度があると答えた人は、わずか5.8%でした。職場に理解を得るためには、不妊治療をしていることを伝える必要がありますが、職場で話しづらいと考えている人は81.3%にも達しています。
このような結果を考え合わせると、女性活躍推進のためにも、不妊治療を継続しながら就業できるような体制づくりが急務です。そのためには、まず不妊治療のための1ヶ月に5~6回程度の有給休暇が取得できるようなシステム作りが必要となります。不妊退職をなくすためにも、不妊治療に対する職場や上司の理解が必須であり、そのための研修や教育が大切となります。人手不足が深刻化するわが国において、不妊治療支援も大切な選択肢の一つです。
(NPO法人Fineアンケート)
(吉村 やすのり)