5月17日、厚生労働省がん対策推進協議会のメンバーで様々ながんの患者団体の5人が、子宮頸がん(ヒトパピロ―マウイルス感染)予防ワクチンに対する見解ならびに情報提供の早期改善に関する要望書を厚生労働大臣に提出しました。わが国においては、子宮頸がん予防ワクチンの定期接種は、2013年4月より開始されましたが、原因不明の疼痛を始めとする副反応の報告が相次いだことにより、2013年6月より厚生労働省は積極的勧奨を差し控えています。これまでWHOや日本産科婦人科学会を始めとする17の学術団体が接種を再開するとの要望が出されていますが、4年が経過しても接種の再開のメドは立っておりません。
特にWHOは2015年12月の声明の中で、若い女性が本来予防し得るHPV関連がんのリスクにさらされたままとなっている日本の状況を危惧し、安全で効果的なワクチンが使用されないことにつながる現状の政策決定は、真に有害な結果となり得ると警告しています。将来、先進国の中でわが国においてのみ多くの女性が子宮頸がんで子宮を失ったり、命を落としたりするという不利益が、これ以上拡大しないよう、国が一刻も早くHPVワクチンの接種勧奨を再開することを強く求められます。今回の要望書は、患者団体の有志から出されており、国民が正しい情報に基づいた判断をする上で極めて有意義なものです。
(吉村 やすのり)