カスタマーハラスメント(カスハラ)の実態

総務省統計局によれば、2022年の65歳以上の高齢就業者は912万人と、2021年の909万人から微増で、19年連続で前年比増となっています。10年前の2012年の596万人からは53%増です。年金の受給開始年齢の引き上げや健康寿命の延伸で、高齢になっても働く人が増えています。労働人口の増加で、シニア層がカスハラ被害に遭うリスクも高くなっています。
流通や外食などの労働組合が加盟するUAゼンセンの実態調査によれば、直近2年で迷惑被害に遭ったと回答した人は約47%に上っています。2020年の約57%よりも10ポイント低減しています。社会問題化して企業の対策が進んでいますが、依然として高くなっています。迷惑被害の内容は、暴言が約40%と最も高く、威嚇・脅迫の14.7%、同じ内容を繰り返すクレームが13.8%と続いています。
シニア層の現役時代、社会では現在よりもハラスメントが横行していました。そうした経験から、シニアは我慢強い傾向にあります。自分の時代は当たり前だったからと思わず、毅然とした対応が必要になります。お客様は神様という意識が強かったのですが、現在はそんな時代ではありません。一人で抱え込まず、上司や同僚を呼んで複数人で対応すべきです。
迷惑行為をした人の推定年齢は、60歳代が約30%と最も多く、70歳代以上と合わせると約49%に及びます。高学歴・高収入で社会的地位が高かった人が、カスハラをする傾向がみられるという分析もあります。カスハラの自覚や悪意がないことが多く、定年後に居場所がなく、承認欲求が高まった結果と言う面もあります。

(2024年8月7日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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