ミニ臓器による創薬の効率化

米スタンフォード大学のチームは、iPS細胞からミニ臓器とも言われるオルガノイドを作り、遺伝性難病の治療薬候補を開発しています。ミニ臓器で病気を再現し、治療薬候補の効果を実証しました。ミニ臓器で創薬が効率化でき、大腸がんや膵臓がんなどにも研究が広がっています。
病気の仕組みの解明や治療薬候補の検証といった創薬研究では、従来培養細胞やマウスなどの実験動物を利用してきました。患者から採取した細胞を利用したり、遺伝子操作を加えたりしますが、細胞や動物ではヒトの病気の状態を十分に再現できない場合もあります。iPS細胞などからつくるオルガノイドは、特殊な培養技術によって臓器や組織の立体的な構造や複雑な機能を再現することができます。腸などの組織の幹細胞やがん細胞から作るものもあります。病気をオルガノイドで再現すれば、創薬研究に役立ちます。

 

オルガノイドの研究は急増しています。米国の公的データベースのPubMedで、関連文献は2013年から2023年にかけて累計数が約2.8倍になっています。急速な発展を支えるのはオルガノイドを作る基盤技術です。

(2024年8月6日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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