ユースクリニックの意義

思春期には体や性の悩みを一人で抱えやすく、家族にも話しづらく、インターネット上の不確かな情報に振り回される場合が多くなっています。そんな若者が気軽かつ安価に医師などの専門家に相談できるユースクリニックに注目が集まっています。
ユースクリニックは、スウェーデンで1970年代に誕生したとされます。対象年齢は地域などによって異なりますが、12~25歳向けのユースクリニックが250以上存在しています。自治体が運営する公的施設で、若者は基本的に無料で利用できます。クリニックには、助産師やカウンセラーなどが常駐し、性や体の相談にのったり、緊急避妊や避妊具を無償提供したりしています。利用者は性感染症や妊娠検査も受けられます。
民間シンクタンクの日本医療政策機構の調査によれば、性の健康に関する情報源で最も多かったのは、インターネット検索や質問サイトで、医療従事者は19.7%にとどまっています。ネットなどから得られる情報は必ずしも正しくない場合が多く、専門知識を持った第三者に相談すべきです。

わが国でもユースクリニックの取り組みが始まっています。藤沢女性クリニックもんまは、2019年よりユースクリニックを併設しており、産婦人科医師などの専門家が若者の体や性の悩みについて相談を受けています。全国的に広げるには、民間の努力だけでは難しいものがあります。国は公的資金などで取り組みを後押しすべきです。

(2022年11月16日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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