今後の保育所のあり方

保育所など地域の保育施設を利用するには、自治体から保育が必要と認定される必要があります。共働きや保護者の病気などの一定の条件があり、専業主婦世帯は基本的に、日常的には利用できません。今年4月時点の利用児童数は約273万人で、10年前より25%増えました。政府は、来年度に保育所などに通っていない未就園児を週に何日か定期的に預かるモデル事業を始める方針です。
ここ10年ほどで施設整備が進み、待機児童は、今春過去最少の2,944人になりました。一部に定員割れの施設も出てきています。そこで政府は今年の骨太の方針で、保育所の空き定員の活用による支援の推進を掲げています。保育所側も施設を有効に活用でき、運営が安定するようになります。子どもにとっても、集団の中での関わり合いを経験できる機会になります。1、2歳児でも56%が保育所などに通い、地域の子ども同士がつながる場になっています。
都市部を中心に残っている待機児童を解消することはもちろんですが、新たな支援を担える人材の確保も欠かせません。保育士の待遇改善を着実に進める必要があります。子育て支援にはいつも財源という難問が付きまといます。1994年からの少子化対策が十分に効果を上げられなったのも、当時は高齢者介護の方が重視されたことが一因です。保育の質を高める職員配置の見直しも長年にわたり実現していません。今年10月からは児童手当の高所得者への給付が無くなりました。保育所整備の予算を確保するための苦肉の策です。

(2022年11月7日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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