住宅ローンの増加

日本の住宅ローンの融資残高が膨張を続け、220兆円を超えています。しかし、住宅の資産価値は伸び悩んでいます。ローンの負債以上に住宅の資産価値が上がり続けている米国と対照的です。日本では金利上昇リスクがある変動型を選ぶ人が7割を超えており、金利が0.1%上昇すれば、国内全体で利息負担が約1,100億円増えるとの試算もあります。
日本の住宅ローン残高は増え続け、マイナス金利が導入された2016年以降は年2~3%前後で増加しています。この10年間で約40兆円増えています。しかし、住宅の資産額は伸び悩み、直近の2020年末は前年比で下落しています。米国でも近年、ローンが急増し、残高は今年6月末で12兆ドルを突破していますが、それ以上に住宅の資産額の伸び率が大きく、住宅が資産として機能する米国と、消費財に近い日本の差が表れています。
住宅購入の中心層の30~40代のローン残高は右肩上がりです。金利上昇リスクがある変動型を選ぶ人ほど、住宅価格に対して高額なローンを組んでいます。変動型を選ぶ人の半数近くは、住宅価格の90%超の融資を選んでいます。そのうちローン諸費用なども合わせて、住宅価格を超えた額を借りる100%超融資も約12%に上っています。

(2022年11月6日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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