国連の世界人口推計

国連の2024年版の世界人口推計によれば、世界の人口が2080年代に約103億人のピークに達した後、減少に転じるとしています。新興国でも経済発展に伴って出生率の低下が見込まれ、人口の推移は、10年前の推計を大きく下回っています。2024年の世界の人口は82億人で、2022年に初めて80億人を突破しました。今後60年は増加を続けますが、2080年代半ばをピークに減少に転じ、2100年には102億人を割り込む見込みです。

今後、特に著しい人口減に見舞われるのが中国です。2024年時点の14億1,900万人から、2100年には6億3,300万人と半分以下に減少します。1957年当時は出生数が2,700万人に上り、平均年齢は20歳という若い国でした。2100年の出生数は310万人まで減り、平均年齢は60歳を超えます。少子化が止まらず、経済や社会保障を支える働き手が減り、社会の活力が失われていく構図です。
人口が中国を抜いて最多となったインドも、今世紀中に減少に転じます。2060年代前半に、今より2億5,000万人ほど多い17億人に達しますが、以降は減少基調となります。経済発展や女性の社会的地位の向上に伴い、出生率が徐々に下がる可能性があります。しかし、2100年時点でも15億人超を保ち、トップを維持する見通しです。
3位の米国は増加が続きます。出生率が上昇傾向にあるのに加え、平均寿命も今より10歳長い89歳に延びます。移民数も現状の120万人余りの水準を維持します。米国より高い増加率で人口が伸びるパキスタンとナイジェリア、コンゴ民主共和国に抜かれ、2100年の順位は6位に下がります。
日本や中国、ドイツなど63の国と地域は、既に人口のピークを迎えました。世界の4人に1人が、人口が減少していく国に住んでいる計算になります。地域別にみると、欧州が既に人口減少に転じたほか、アジアと中南米も2050年代半ばから減少局面に入ります。北米とオセアニアは増加の見込みです。突出して増加が見込まれるのはアフリカです。2024年時点で15億人強の人口が、2100年には2.5倍の38億人に膨らみ、世界の4割弱を占めることになります。

世界の合計特殊出生率は現在2.25であり、1990年の3.31からおよそ1人分減少しています。2040年代には、人口を長期的に維持するのに必要な人口置換水準の2.1を下回る見通しです。高齢化は一段と加速しています。世界の平均寿命は2024年に73.3歳と、1995年から8.4歳延びています。2100年には男性の平均寿命が85.6歳、女性が88.9歳に達します。高齢化の進展により、2070年代後半には65歳以上の高齢者の人口が、18歳未満の子どもの人口を上回ります。

(2024年7月13日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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