婚姻関係を考える

結婚の形が多様化する中、事実婚が増えています。事実婚とは、戸籍は同一にしないまま、生計を共にする結婚の形式を指し、内縁関係ともいわれています。事実婚では入籍はしないものの、住民票上では婚姻届けを出していない、未届けの夫婦として記載するのが一般的です。事実婚として夫婦になることで、法律婚と同様の扱いを受けられる部分もあり、戸籍は別々なのでお互いに苗字を名乗ることができ、夫婦別姓を希望するカップルにとって選択肢にもなっています。令和4年の男女共同参画白書によれば、成人の2~3%が事実婚をしています。
事実婚は法的に使用されるものではなく、法的には内縁という言葉が使われます。ほとんどの人が結婚していた時代、結婚制度の外にいるカップルは特殊な存在だったからこその内縁でした。昭和の時代は、内縁という言葉から、湿り気や薄暗さが漂ったものでした。しかし結婚しないことが特殊ではなくなった今、事実婚カップル達は、自分達の状態が特殊だとは思っていません。相手のことを内密にするつもりもないので、他人にはパートナーですなどと言います。
事実婚カップルは婚姻関係が明確になってないので、離婚率が高いのではと懸念する声も聞きますが、そのようなデータはありません。事実婚カップルは、結婚制度に縛られないせいか仲が良いケースが多く、こちらの離婚率はかなり低いのではないかと思われるほどです。
逆に離婚したいと思いつつも、子どもが結婚するまではと法律婚を保ち続けてきた夫婦もよくみられます。事実離婚状態の夫婦は珍しくありません。家庭内別居程度では満足できないけれど、離婚はあまりにも面倒だったり、子どものことを考えてできなかったりすることはよくあります。中には、事実離婚中に配偶者以外の相手と事実婚状態になる人もいます。
事実婚や事実離婚の状態にある人のことを思うと、3組に1組は離婚するという数字の裏側には、さらに多様なカップルが存在していそうです。カップルがどのような形態であっても、二人の間の子どもが幸せであることを祈るばかりです。

(吉村 やすのり)

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