少子化の加速による地方の衰退

出生数も合計特殊出生率も過去最低、女性の人口減を背景に進んでいる出生数の減少は止まりません。そのペースは速まっています。2021年は前年に比べて3.5%減でしたが、今回発表された2022年は、前年に比べて5%も減っています。
出生数の減少傾向は、今年に入っても歯止めがかからず、1~3月の外国人を含めた速報値では、前年同月比でマイナス5.1%です。婚姻数も14.2%と大きく落ち込んでいます。しかし、出生動向基本調査によれば、独身の人のうち、結婚したら子どもは持つべきだと考える女性は約37%、男性は55%です。6年前の調査から、女性は約30ポイント、男性は約20ポイントも減っています。
子どもの減少は、地方で影響がより深刻です。地方では今後、育児ができなくなる恐れがあります。生まれる子どもが減る地域では、保育所の定員割れが起こり、施設が閉鎖に追い込まれるケースも出てきます。育児サービスが近場でなくなれば、子育て世代が引っ越していなくなってしまいます。保育所が無くなれば、小学校の統廃合につながり、中学校にも波及します。現役世代の流出は自治体の税収にも影響し、企業も進出できなくなってしまいます。
地方の少子化は、いずれ都市部にも及びます。働き手の中心となる生産年齢人口(15~64歳)は、この先約50年で約3千万人減少します。現在地方で起こりうる問題は、生産年齢人口の減少とともに20年後には都会で起こります。若者は将来に不安を感じ結婚や子育てをためらっています。若者の不安を取り除くことが先決です。

(2023年6月3日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)

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