日本に暮らす外国人の増加

バブル経済下で深刻な人手不足に陥った1980年代、日本で外国人労働者の受け入れ議論が加速しました。1989年に改正出入国管理法が成立し、日系3世までの外国人に定住者などの在留資格が付与され、南米から多くの若者が日本に渡ってきました。現在、日本には320万人を超す在留外国人が暮らしています。40年前の4倍近くに増え、2070年ごろには人口の1割を超える試算もあります。
1989年の入管法改正前の議論では、日本人の機会損失や文化摩擦を懸念する意見が目立ち、外国からの単純労働者の受け入れが見送られました。実際には多くの日系人が製造業や建設業で働き、安い労働力として重宝されてきました。政府は、外国人材の受け入れは拡大するが、移民政策はとらないとの姿勢を貫き、外国人の生活基盤は不安定なままです。日本の入国政策は、研修、実習、留学などの表看板を掲げながら、実際は労働力の穴埋めとして受け入れる歪な構造が続いています。
外国人は、地域の担い手や消費者としても日本社会を支えています。社会の対等な構成員として認め、権利や待遇を改善する必要があります。ムラ社会の凝り固まった価値観をほぐし、今こそかけ声だけの外国人共生から踏み出さなければなりません。

(2024年1月11日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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