日本語教師の不足

文化庁の調査によれば、2022年11月現在、全国約1,900の市区町村のうち44%が、外国籍住民のための日本語教室のない空白地域になっています。
全国の日本語教師約4万4,000人、日本語学習者約22万人のうち、ともに約3割が東京に集中しています。なお、教師総数の半分近くをボランティアが占めています。
文化庁は、空白地域対策として日本語教育の専門家を派遣し、教室の整備を支援する事業を2016年度に開始しています。ただ、効果を上げているとは言い難い状況です。教師の人材不足の要因に受け皿の少なさや待遇の低さがあります。行政が予算をつけ、日本語教師を確保しない限り、外国人が日本語を身に付ける機会を保障できません。日本語を学べず、孤立した外国人が増えると、住民と摩擦が起きる恐れもあります。
従来の日本語教育の対象は、国が受け入れ拡大を進めてきた留学生が中心でした。留学生のための教育機関や日本語教育の関係者が都市部に偏在したまま、就労目的の外国人が急増してしまいました。外国人が散在する地域では、多くは住民の熱意で教室が運営されてきました。自治体や企業には、ボランティアに任せればいいという意識が根強く残っています。
政府は、特定技能の在留資格で長期就労できる分野を増やすなど、外国人労働者の受け入れを拡大していく方向にあります。就労目的の訪日外国人が高額な授業料を払うのは難しい状況にあります。外国人を受け入れ、日本語教育の経費を税金から拠出するべきだという意識を育む取り組みも必要です。

(2023年10月24日 東京新聞)
(吉村 やすのり)

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