子宮頸がんの原因となるヒトパピローマウイルス(HPV)の感染を防ぐワクチンの積極的勧奨が、4月から始まります。約9年ぶりの再開です。HPVワクチンは、ウイルスの感染を防ぐことが目的のため、初めての性交渉前に接種することが望ましいとされています。小学6年~高校1年相当の女子が定期接種の対象で、標準的には、中学1年の間に半年かけて3回接種します。
子宮頸がんの9割以上は、ヒトパピローマウイルスの感染が原因とされ、性交渉によって感染します。ほとんどの人はウイルスが自然に検出されなくなりますが、ごく一部の人で感染が持続し、数年以上かけてがん化します。HPVは200種類以上の型があり、がんを起こしやすいものは20種類ほどあります。定期接種となっているHPVワクチンは、子宮頸がんの50~70%を占める16型と18型の2種類のHPV型に効果があります。
積極的勧奨が止まっていたために、接種の機会を逃した1997~2005年度生まれの女性は、公費で接種することができます。過去に1回、または2回接種後に中断していても、残りの回数は公費負担となります。
厚生労働省の副反応検討部会は、昨年11月に積極的勧奨の再開を決めました。一般にコロナワクチンでもみられるように、接種後には様々な有害事象が起こります。今後、接種者が増えると、多様な症状の訴えは増える可能性があります。しかし、接種後に起きる症状を専門に診る協力医療機関は、各都道府県内にあります。接種時の状況を確認しながら診察する必要があるため、まずはすぐに接種した医療機関やかかりつけの医師に相談したうえで、協力医療機関への受診がすすめられます。
(吉村 やすのり)