睡眠時間の確保

OECDの2021年版調査によれば、日本人の15~64歳の平均睡眠時間は1日7時間22分で、対象33か国の中で最も短くなっています。米国は8時間51分、英国は8時間28分、日本に次いで短い韓国は7時間51分でした。
理想とする睡眠時間より実際の睡眠が短くなると、脳がストレスを制御できなくなり、抑うつ感情が出やすくなる上、心筋梗塞や認知症などのリスクも高まります。労働の生産性を高めるためにも、企業側には、休養をしっかり取らせる発想が必要です。
労働者の睡眠時間を確保するために、厚生労働省が企業側に求める対策が、終業から次の始業まで一定の休息時間を設ける勤務時間インターバル制度です。2019年施行の働き方改革関連法で、導入が企業の努力義務となりました。しかし、実際に導入している企業は、昨年約6%にとどまり、目標にはほど遠い状況です。
仕事以外の時間帯にスマホなどを1日4時間以上利用する人は、1週間の労働時間が20~40時間未満でも、60時間以上でも、約24%で変わっていません。帰宅した後にスマホを見るのはやめて、その分の時間を睡眠充てる余地はありそうです。睡眠時間の確保を前提にした働き方を労使双方で模索していくべきです。

(2023年10月26日 読売新聞)
(吉村 やすのり)

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