脳死臓器提供1,000件に

脳死となった人からの臓器提供が1,000件に至りました。WHOの2022年調査によれば、人口100万人あたりの脳死ドナー数は、米国は30.25人、スペインは27.47人、フランスは22.24人、韓国は7.89人に対し、日本は0.74人です。先進国でも最低の水準です。移植までの待機期間は、腎臓が平均14年8か月と最長で、心臓の3年5か月、膵臓の3年3か月が続いています。最近5年間に、待機中に亡くなった患者は1,983人に上がっています。

 

移植希望者に対してドナーが足りない状況は解消されていません。日本社会に臓器提供の意思表示が広がらないことや、移植医療の体制の不備が長年の課題として指摘されています。欧米と比べ、臓器提供を支える人材や仕組みが充実していません。米国や韓国では、脳死が疑われる患者が出た医療機関に対し、臓器斡旋機関への通報を法で義務付けており、潜在的なドナーの掘り起こしにつながっています。
ドナー不足が続く中、国内での移植を諦め、手術を受けるため海外に渡航する患者が後を絶ちません。海外で移植を受けて帰国し、国内で通院している患者は、3月末時点で計543人いることが判明しています。渡航先は、米国や中国、東南アジア、中南米など25の国・地域に上っています。途上国での移植は臓器売買につながる恐れが強く、国際移植学会が、2008年に移植用の臓器は、自国で賄うよう求めるイスタンブール宣言を採択しています。

(2023年10月29日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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