製薬大手ノバルティスファーマの高血圧治療薬の論文不正事件などを受け、厚生労働省は医師らが主導して行う臨床研究を法で規制する報告書案をまとめました。報告書案によると、未承認か適応外の医薬品・医療機器を用いた臨床研究や製薬会社が広告に用いることが想定されるような臨床研究が、法規制の対象となります。研究の監査や記録の保存などを義務づけています。
これまで日本の臨床研究には強制力がない国の倫理指針しかありませんでした。データチェックや第三者による監査で被験者保護が期待されます。製薬会社から医師への資金提供の情報公開を法制化するかは、検討課題とされましたが、業界団体の日本製薬工業協会は、昨年から大学への寄付金などを自主的に公開しています。今年からは講師謝礼・原稿料で医師の名前や金額の公開も始まっています。すでに数年前より医師は、企業からの講師謝礼や研究費などをCOIで報告しなければならないことになっています。企業と医師との金銭的癒着を防止するためにも、公開は止むを得ないと思います。
(2014年11月27日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)