遺伝的アルゴリズムによるスマホ部品の設計

東京大学は、材料の微細な構造を自動で設計するシステムを開発しています。英国の生物学者ダーウィンが唱えた進化論の着想を取り入れ、最適な構造を作ります。実際に物質の表面を伝わる波を制御するナノ構造を作製して、高い性能を得ています。スマートフォンなどの電子デバイスの開発に役立ちます。
同じ形が並ぶ周期構造は形や間隔を変えることで、熱や振動の波の伝えやすさを制御できます。スマホなどの電子デバイスに使う部品にも周期構造を用います。しかし、人が設計すると、円や正方形などの単純な形になりがちで、より高い性能を発揮する形を見いだす最適な設計手法が必要となります。研究チームは、物質表面を伝わる波を制御する微細構造を自動設計するシステムを開発しています。生物進化の仕組みを真似て、最適な状態を探す遺伝的アルゴリズムという手法を使っています。
遺伝的アルゴリズムは、1975年に米ミシガン大学のジョン・ホランド氏が提案しました。ダーウィンが種の起源で唱えた自然選択の概念を模倣しています。自然選択による進化は、個体に生じた変異を子孫が受け継ぎ、変異の違いで生存や生殖が有利になる場合に生じます。突然変異のように異なるデータが入り、徐々に選択されていくことで最適な設計をします。

(2024年7月23日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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