金融教育の必要性

金融教育は、学習指導要領の改訂で、2020年度から小学校、2021年度から中学校、2022年度から高校でそれぞれ習うと定められました。新しい学習指導要領は金融教育を重視していますが、小中高校の現場では指導経験のある教員が不足しているのが現状です。金融経済教育を推進する研究会の教員対象の調査によれば、授業時間の不足や内容の難しさが課題として上位にあがっています。
2020年から成人年齢が18歳になり、高校では金融経済教育の内容が拡充されています。投資、借り入れ、クレジットカードの契約など、トラブル防止でも重要な知識になります。詐欺への備えは新成人の喫緊の課題です。
首都圏の銀行などが大学と組み、経済の仕組みや資産形成を学ぶ金融教育の担い手育成に乗り出しています。教える側の専門知識が不足しているという教育現場の声に応え、先生の卵を育成する大学との連携を強めています。目先の収益に直接貢献するわけではありませんが、若い世代に正確な金融知識を持ってもらうことは、将来のビジネスの先行きを左右することにもなります。金融の最前線で培った知恵を大学で学ぶ先生の卵に伝え、金融リテラシーの底上げに貢献しようとしています。
キャッシュレス化による子どもたちのお金の価値観の変化がみられます。ゲームなどへの課金を通じて知らずに借金を背負うこともあります。日常の教育でお金などの仕組みを学ぶ必要があります。

(2024年8月8日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)

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