HPVワクチンのキャッチアップ接種

子宮頸がんは、子宮の入り口にできるがんで、ヒトパピローマウイルス(HPV)の性交渉による感染が主な原因です。日本では年間約1万人が罹り、3,000人が亡くなっています。患者数は20歳代後半から急増し、ピークは40歳代です。30歳代までに治療により不妊になる人が1,000人もいます。
HPVワクチンがあり、2013年4月に小学6年~高校1年の女子を対象に全額公費助成での定期接種が始まりました。しかし、接種後の重い体調不良がマスコミで報道されたこともあり、国は2か月後に積極的な接種勧奨を中止してしまいました。接種率は、勧奨中止前は7割以上でしたが、中止後に対象となった世代は、長く数%程度でした。2022年4月に積極的な接種勧奨が再開されましたが、接種率は低率のままです。
積極的勧奨が中止されていた9年あまりの間に接種を逃した現在27歳までの女性は、救済措置として今年度までの接種は無料です。これをキャッチアップ世代と言いますが、これら世代の接種率も低率のままです。間隔をあけて2~3回接種するため、9月までに第1回目の接種を受けないと、無料接種は難しくなるので、早めに受けることが必要になります。自費だと1回2万~3万円で、多くの場合計10万円前後もかかります。
HPVワクチンは、16歳頃までの接種が最も効果が高いとされますが、上の年齢でも有効性があるとの国内外の研究があります。男性が接種した場合、肛門がんや中咽頭がんに対する予防効果もあります。男性にも費用を補助する自治体もあります。

(2024年7月14日 読売新聞)
(吉村 やすのり)

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