子宮頸がん―Ⅲ(ワクチン接種後のHPV感染)

 日本に先行してHPVワクチン接種プログラムを導入した先進国からは、HPVの感染率が減少したとの報告が相次いでいます。2006年に接種プログラムを開始した米国では、1419歳女性におけるHPV6/11/16/18型)の感染率が、56%減少したとしています。米国の接種率は、1317歳で37.6%でした。医療機関摂取と学校摂取の双方が導入された豪州のワクチン接種率は、1213歳で71%にも及んでいます。1824歳の女性において高リスクHPV型、ワクチン含有HPV型の感染率が有意に減少しています。
 1999年から2007年までに、日本の子宮頸がん患者2282例の年齢別HPV1618型の検出率を調べた研究では、20歳代の90%、30歳代の76%が16/18型でした。したがって、日本でも欧米から輸入したHPVワクチンを接種することは、子宮頸がんの好発年齢の女性をHPV感染から救う意味で大切なことと思われます。HPVワクチンが定期接種で期待される効果としては、年間約2000人の子宮頸がんによる死亡が無くなり、約7000人の発症を予防することができるとされています。

(出典:Tabrizi SN et al.J Infect Dis,2012,206(11):1645-1651)
(吉村 やすのり)

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