脱水症状対策

脱水対策は、通常暑い夏の熱中症予防のために必要ですが、今年は春のうちから大切になっています。季節の変わり目は、自律神経のバランスが崩れ、暑さに順応しにくくなっています。今年のような急激な暑さは、脱水を招きやすくなります。脱水とは、体の中の水分と塩分などの電解質が不足した状態です。体重の1~2%相当が減ると喉の渇きや尿量の減少がみられ、体重の3~9%分が減ると、全身の倦怠感や頭痛、めまい、血圧の低下などが起こります。
熱中症による救急搬送状況では、高齢者が約半数を占めています。加齢により体液の貯蔵庫でもある筋肉量が減り、体に水分を蓄えにくくなります。腎臓の機能も落ち、体内に水分や電解質を留める力も低下します。乳幼児も発汗や腎臓の機能が十分に発達していないため、脱水を起こしやすくなっています。自分では喉の渇きを訴えられないため、機嫌が悪いといったサインを見逃さないことが大切です。

脱水の最大の予防策は、こまめに水分と塩分をとることです。発汗以外に呼気や皮膚から水分が出る不感蒸泄は、成人で1日約500~900mlに上ります。特に高齢者は、喉が渇かなくても水分補給の心がけが必要です。水分補給のタイミングは、就寝や入浴、運動前後と運動中、外出前や飲酒後です。ミネラルウォーターなど水分のみの摂取だと、塩分が薄まって塩分欠乏タイプの脱水になる可能性があります。食事をしっかりとることも脱水予防につながります。

(2018年4月21日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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