BSL4施設とは

 BSLは、Biosafety Levelの略で、世界保健機関が指針で定めた病原体を扱う施設の基準です。4段階あり、BSL4施設は最も厳しい基準です。エボラウイルスやラッサウイルスなど、感染力や致死率などから見て最も危険な病原体について、培養や保管、動物実験などができる施設です。世界で23カ国・地域で52ヶ所以上が稼働しています。わが国においては、昨年8月国立感染研究所村山庁舎のBSL4の稼働が合意されました。
 BSL4を長崎大学に建設する検討が続いています。アフリカのエボラ出血熱など、グローバル化に伴う感染症の脅威が高まる中、建設されれば国内2カ所目となります。国や長崎大学は建設の必要性を強調していますが、住民の不安は強いものがあります。危険度の高いウイルスが漏れたらどうするのか、感染者が知らずに外に出て感染を広げることはないのか、安全の担保が問題となっています。施設が全国に1カ所だけでは病原体の搬送に時間がかかり、緊急対応できない可能性もあります。現時点では基礎研究に使えず、国際的に不十分とされ、住民の不安解消のための取り組みが大いに求められます。

(2016年11月3日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)

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