CCRCとは、退職した高齢者が健康なうちに地方に移り住み、生涯学習や社会貢献に取り組みながら暮らす生活共同体のことをいいます。英語のContinuing Care Retirement Communityの略で、米国では約2千カ所に75万人が暮らしているといわれています。CCRCは①高齢者が住みやすい大型施設を造る施設型、②狭い地域に個人住宅を集めるエリア型、③小規模自治体全体で機能を担うタウン型の3種類があります。バリアフリ-施設や見守りサ-ビスなどを用意し、ボランティアや生涯学習の取り組みを支援しています。
政府は、まち・ひと・しごと創生会議で2016年度予算編成に向けた地方創生施策の指針となる基本方針の素案を示しています。その中で、大都市の高齢者が地方に移住する動きを後押しする方針を明記しています。大きな柱となるが、大都市の高齢者が健康なうちに地方に移り住むよう促す、日本版CCRC構想の推進です。東京一極集中を防ぎ、地方の人口減少を防ぐ狙いがあります。政府は移住者受け入れを進める自治体に16年度に新設する新型交付金を配り、地域限定で大胆に規模を緩和する特区の指定を検討しています。動き始めた大都市高齢者の地方移住ですが、拠点整備に必要な財源を賄いきれるのかなど課題も残しています。
(2015年6月13日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)