二酸化炭素(CO₂)の排出権を売買するビジネスを通じ、アフリカに暮らす人の健康被害を減らす仕組みが広がってきています。伊藤忠商事は、昨年ケニアの環境テクノロジー企業のココネットワークスから、CO₂の排出権を長期で購入したり、共同で販売したりする契約を結びました。
ケニアでは、主に木炭が家庭用の調理燃料に使われています。CO₂を排出し、樹木も伐採するので環境に負荷がかかります。アフリカでは、年間約60万人が木炭燃焼による一酸化炭素中毒で亡くなっています。
ココネットワークスは、サトウキビなどを原料とする環境配慮型のバイオエタノール燃料を東アフリカ諸国から調達し、ケニアのコンビニの約3,000カ所に設置した燃料ATMという燃料を、手軽に入手できるスポットを通して供給しています。国内約120万世帯に普及し、家庭用燃料の国内シェアは3割ほどです。
住民は、木炭ではなく、健康と環境、懐にも優しいバイオ燃料を買って使うので、CO₂排出権が生じます。その権利を自社単独ではCO₂削減が難しい企業に売り、脱炭素社会に近づけます。
(2024年1月16日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)