本書は、著述中に83歳で急逝されたカリフォルニア大学サンフランシスコ校の産婦人科Julian Parer教授の遺志を継ぐために、三重大学医学部産婦人科教授である池田智明先生が日米協力して完成されました。胎児心拍数(FHR)モニタリングの読み方のみでなく、胎児生理学と周産期脳障害との関連などに多くのページを割いています。米国などではFHRパターンを3段階(3-tier)でレベル化しており、真ん中のレベル(米国ではカテゴリーII)が広すぎて実臨床に不向きであることが問題となっています。わが国では、2010年からParer/Ikedaの5段階(5-tier)を採用しており、それぞれのレベルに対応した分娩管理が行われています。また、時間的推移(evolution)の概念と早産、妊娠高血圧症候群などの疾患ごとのFHRパターンの読み方など、他の教科書には無い内容も含んでいます。
(吉村 やすのり)