欧州のESG(環境・社会・企業統治)ファンドで、初めて資金の流出が流入を上回りました。トランプ米政権の反ESG政策の影響で、世界的に脱炭素投資が減速するなか、最後の砦だった欧州もマネーの後退が鮮明になっています。グリーンウオッシュ(見せかけの環境対策)への視線が厳しさを増し、ファンドの選別も進んでいます。
ESGファンドは、気候対策や人権問題に対する企業の取り組みを評価して投資先を選びます。新型コロナウイルス禍で社会問題への関心が高まり、2020年以降に欧州を中心にESGブームが起きました。世界のESGファンドの運用資産残高(3.16兆ドル)のうち、欧州が84%、米国が10%を占めています。
世界全体では過去最大となる86億ドルが流出超となり、前四半期(181億ドルの流入超)から一変しています。米国は10四半期連続、日本は11四半期連続で流出超になっています。流入超が続いていた欧州が流出超に転じたことで、中長期的にESG投資が先細る懸念が出てきました。

(2025年6月27日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)