エイズウィルス(HIV)に感染した男性が献血し、その血液が患者2人に輸血され、うち1人にHIV感染が確認された。HIV感染においては、感染後4週間以内の初期にはウィルス量が少なく、通常の検査では検出できない「ウィンドーピリオド」と呼ばれる空白期間がある。以前に米国において、提供精子による人工授精(AID)で、女性や生まれた子どもがHIVに感染したことがあった。そのため、ウィンドーピリオドを考慮し、AIDに使用する精液については、提供時と6ヶ月後にそれぞれHIVの検査を施行することになっている。その間精子を凍結しておいて、両方の検査で異常のなかった凍結精子のみをAIDで使用することになっている。
しかしながら、輸血用の血液は凍結精子とは異なり、凍結により長期間保存することができないため、精度の高いウィルス検出検査を導入すべきである。これまでは、20人分まとめて行っている検査を一人ずつの個別検査に変更し、精度を高めることも必要である。
(2013年11月27日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)